2019年6月10日月曜日

気になった左右分離型イヤホンをまとめて比較してみる(2)実際の装着性、接続性、音質

今回は前回の『左右分離型イヤホン』の比較の続きです。
今回の主テーマは『実際の装着性、接続性、音質』という観点で比較していきたいと思います。

装着性

まずは実際に装着してみると云うところですが、どの製品も装着に別段困るということは無いと思いますが、使用していて気になった点を主にピックアップして記載します。
ここでは、使用可能な他社製のイヤーピースも記載しています。
  1. BOSE SOUNDSPORTS FREE
    • イヤーピース:互換なし。純正のみ(StayHear+ Sportチップ)。
    • サイズ選択はチップのウィング部分が耳にしっかりと引っかかるかという点で選択した方が良いです。私の場合は、Mサイズがフィットするので愛用しています。
    • 装着してて一番に気になるのは、重量のバランスでしょう。動いているときは特に気になりませんが、じっとしているときにイヤホンの重量によって「外れないか?」という要らぬ心配を感じてしまいます。
    • 思っている以上にイヤホンが耳にぶら下がる印象を受けます。
    • 耳穴が小さかったり、耳自体が小さい方は使用できるかというところで使用できる人を選ぶ製品かもしれません。
    • ボタン操作はスイッチタイプなので誤動作は少ないですが、ボタンの感触が硬めのため、しっかりと押さないといけないのがマイナス点です。ボタン操作するとき、確実にイヤホン本体を指で支える必要があります。
    • イヤホンを装着しながらの着替えはほぼ無理。大体シャツの襟首付近でイヤホンが引っかかって落ちます(笑
    • 装着しながらのシャワーは可能です。タッチセンサー式ではないので誤動作を引き起こすこともほぼ皆無なので使用できますが、IPX4でメーカーもあまり推奨していないので浴室での頻繁な使用は控えた方が良いかもしれません。
  2. TWS-X9
    • イヤーピース:ソニー製イヤーピース(ハイブリッド、トリプルコンフォート)、コンプライ200シリーズ、Spinfit CP100、final Type-E
    • 注意:ソニー製イヤーピース以外(Spinfit, final)は、山が高くてケースに収まりませんでした。他社のシリコン製イヤーピースを使用する際はケースに収まるかを考慮する必要があります。
      左から final Type-E, Spinfit CP100, Sony ハイブリッドイヤーピース
      若干ハイブリッドイヤーピースだけ高さが低いのが分かると思います。
    • 耳への収まりについては一番好印象でした。すっぽりと耳の中へ収まるという表現がしっくりくるかなと思います。
    • イヤーピースのサイズ的に構造が一般のカナル式より深く入り込む作りになっているので、1~2サイズ小さめのイヤーピースの方が収まりが良くなる印象でした。
    • ボタンはタッチセンサー式で反応は良いかと思いますが、うっかりセンサー部分に触ってしまい音楽の再生停止など誤操作を引き起こす感じがマイナスかなと思います。
    • イヤホンを装着しながらの着替えは全然問題ありません。快適に着替えできました。
    • 装着しながらのシャワーは、水滴がイヤホンのボタンセンサーの誤動作を引き起こすので余りお勧めできません。IPX7を謳っていても使用は微妙な印象でした。
  3. Hi-TWS
    • イヤーピース:ソニー製イヤーピース(ハイブリッド、トリプルコンフォート)、コンプライ200シリーズ、Spinfit CP100、final Type-E
    • 耳への収まりは悪くありませんでした。 TWS-X9 と同じくらい装着感は良いです。
    • ボタンはタッチセンサー式で反応は良いかと思いますが、 TWS-X9 と同様にうっかりセンサー部分に触って誤動作を引き起こす感じがマイナスかなと思います。
    • イヤホンを装着しながらの着替えは問題なく行えました。
    • 装着しながらのシャワーは、 TWS-X9 ほどではありませんが、ボタンのセンサーが誤作動を起こしました。それでも頻繁ではないので、使用できるかなと思います。
  4. NT100
    • イヤーピース:ソニー製イヤーピース(ハイブリッド、トリプルコンフォート)、コンプライ200シリーズ、Spinfit CP100、final Type-E
    • イヤーループを着けないで、装着することも可能ですが落ちてしまうかなと感じることがあったので、イヤーループは装着した方が良さそうです。装着感は可もなく不可もないという感じです。
    • ボタンは少し押しにくいなと感じました。ボタンのフェイスプレートが偏った感じで割り当てられているせいで押しても反応しないことがありました。
    • イヤホンを装着しながらの着替えは装着したときに、若干耳から飛び出している感じになるので、多少引っかかることはありますが特に困ることは無いと思います。
    • 装着しながらのシャワーは、 問題なく使用できます。センサー式にしなかった恩恵がここに現れていますね。
  5. Push
    • イヤーピース:ソニー製イヤーピース(ハイブリッド、トリプルコンフォート)、コンプライ200シリーズ、Spinfit CP100、final Type-E(標準添付は形状からして、もしかしたら final Type-Bかも)
    • イヤーノズルが楕円形で独特ですが、他社製のイヤーピースを特に不都合なく交換できます。
    • 装着性は抜群です。若干耳の外を出る感じになりますがそれを補って余りある軽量さが着けていることを忘れさせてくれそうです。「重量を感じない」と一番感じた製品です。
    • ボタンの操作は一番考えられてる製品ではないでしょうか。非常に押しやすいし、使い勝手も抜群です。
    • イヤホンを装着しながらの着替えは装着したときに、若干耳から飛び出している感じになるので、多少引っかかることはありますが特に困ることは無いと思います。
    • 装着しながらのシャワーは可能です。タッチセンサー式ではないので誤動作を引き起こすこともほぼ皆無なので使用できますが、IPX4でメーカーもあまり推奨していないので浴室での頻繁な使用は控えた方が良いかもしれません。

接続性(Bluetooth)

Bluetooth 接続ですが、接続状態が弱くなると、おおまかに以下2つの症状で現れます。
  • 音が途切れる
  • 音が引っ込んだ感じになる
  • 片側だけ再生を続ける
バージョンによって現象が分かれるのか分かりませんが、主観で音が切れるのはSOUNDSPORTS FREEをはじめとする、Bluetooth Ver.4.2 の製品に多く見られるかなと感じています。
音が引っ込んだり、片側だけ再生を続けるような感じになるのは、Bluetooth Ver.5.0 の製品で確認できます。
Bluetooth Ver.5.0 の場合は再接続の精度が上がり、その影響によって細いけど接続は保てるようにしている結果なのかなと推測しています。

接続性のテスト

現代の日常生活において、 Bluetooth 接続がもっとも影響を受けるのは「電子レンジ」です。これは電子レンジのマイクロ波が Bluetooth 接続の 2.4GHz帯に影響を与えるようですが、開け放たれた空間であれば 5 m ほど離れていても、調理中の電子レンジの影響を受けます。
今回は、ちょっとした接続性をテストもしてみました。

通勤時の切断頻度

まずは人混みの中で発生する接続の途切れる頻度です。
私は日頃から渋谷や池袋などを行き来することが多いため、劣悪な環境下で確認できます(笑
どのくらいの頻度で切断が発生してしまうのかを確認しました。回数とかは数えてられないので主観です。ですが、明らかな違いが見られましたので目安として使用できると思います。

TWS-X9 <<< NT100 ≦ Hi-TWS < Push = SOUNDSPORTS FREE
切断頻度:多い ← → 少ない

明らかに頻繁に電波の影響を受けるのは TWS-X9 。電車の到着待ちしていて動いていないのに影響を受けて頻繁に接続が切れたりします(子機側(右))。
TWS-X9 だけがひとつ抜けて酷いけど、他はそこまで酷くないかなという印象でした。

片耳接続

最近の製品では「片耳モード」と称して、左右別々にペアリング出来る製品も出ています。本レビューで挙げた製品でも TWS-X9 と Hi-TWS の2機種は左右個別にペアリングが可能で、個々で運用可能。Push は親機のみ片耳モードで動作可能です。

  1. BOSE SOUNDSPORTS FREE
    • 片耳モードには非対応
    • どちらか一方のイヤホンを充電ケースにしまうと自動で切断されます。
  2. TWS-X9
    • 片耳モードで接続可能です。
    • 左右ともに接続デバイス名が「X9」と表示されるので、間違えやすいです。
    • 片耳モードでも自動で切り替えて接続してくれます。
  3. Hi-TWS
    • 片耳モードで個別で接続可能です。
    • 左右で接続デバイス名が「Hi-TWS L」「Hi-TWS R」と別れているので間違えにくいです。
    • 片耳モードでも自動で切り替えて接続してくれます。
  4. NT100
    • 片耳モードには非対応です
    • どちらか一方のイヤホンを充電ケースにしまうと自動で切断されます。
  5. Push
    • 片耳モードに対応しています。
    • ただし、親機(左側)のみ対応です。

音質

続いて、イヤホンの主機能である聞かせる部分である『音質』についてチェックしたいと思います。
毎回記載していますが、イヤーピースについては必ずご自身の耳穴にフィットしたものをご使用ください。事前にフィットしている製品があるのなら、積極的にそちらを使用した方が良いと思います。フィットしていない場合は低音が抜け(痩せ)ます。
今回の評価では、SOUNDSPORTS FREE 以外の製品はすべてソニーのハイブリッドイヤーピース(L)を使用して評価しています。

試聴環境

Bluetooth接続ということで、ハイレゾ楽曲をがっつり聴くという条件では無いと思いますので、スマートフォンを使用してストリーミング配信を聴くということを重きに置いた条件で確認したいと思います。

  1. 使用スマートフォン: iPhone 7
  2. 使用ストリーミング配信: Apple Music, Amazon Prime Music Unlimited
  3. 試聴楽曲
    • クラシック(Apple Music):ルドヴィコ・エイナウディ「Seven Days Walking: Day 1から「Low Mist Var. 1」」
    • ジャズ(Amazon Prime):Joe Farnsworth, Cedar Walton他「BEAUTIFUL FRIENDSHIPより「Beautiful Friendship」」
    • アニソン(Apple Music):日比野記子(ときめきアイドル project)「お月様のメロディー」
今回試聴楽曲は最近の個人的にお気に入りの楽曲をチョイスしています。
クラシックは、イタリアのピアニストで作曲家のルドヴィコ・エイナウディの最新アルバムで7ヶ月連続リリース(予定)であるアルバム「Seven Days」から一番最初のアルバムからチョイスしました。静かな1曲。
ジャズは、ジャズドラマー Joe Farnsworth のアルバムから表題曲をチョイス。
アニソンは、2019年に残念ながらオンラインサービスを終了してオフライン版として、リリースされたコナミのゲーム「ときめきアイドル」から個人的にお気に入りの日比野記子ちゃんのソロ曲をチョイス。

所感

  1. BOSE SOUNDSPORTS FREE
    • バランスの良い音質。BOSEのイヤホンらしい音作り。
  2. TWS-X9
    • 安定した場所では非常にバランスの良い音質。
    • 普段使いにとっつきやすい。
  3. Hi-TWS
    • 他の機種に比べて、突き抜けた重低音。
    • 中高音域は引っ込んでしまう印象。
    • 他のイヤホンで聴いた後だと、あまりの違いに「ん!?」ってなることは間違いないと思いますが、慣れの問題でしょう。
  4. NT100
    • 群を抜く圧倒的なホワイトノイズ。
    • 静かなピアノ曲などにもホワイトノイズも添えて。
    • リスニングの使用には(個人的に)堪えられないモデル。
    • 雑踏の中での使用にでは使えるかも。
    • ディスりたくないけど、ディスらざるを得ない。
    • 「昔のカセットプレイヤーか!」ってツッコミを入れざるを得ない。
  5. Push
    • 9mm ダイナミックドライバーから繰り出される存在感のあるサウンド。
    • 今回の試聴イヤホンの中では一番にお勧めできるサウンド。
所感として、どの製品も音質などバランスは良く聴きやすいと思いました。
しかし、NUARL NT100だけは残念評価にせざるを得ませんでした。この製品でクラシックのピアノ曲とかは聴けたものではありません。再生中、楽曲の裏で耳障りなホワイトノイズがずっと乗ったままになり、非常に不快でした。数々のイヤホンを使用してきましたが、酷評しなくてはならないと思ったのはこの製品が初めてかもしれません。充電ケースでは正常に充電できない、イヤホンにはホワイトノイズが乗るという、通常使用の点で根幹に関わる部分の減点要素が目立ちすぎて正直なところガッカリです。

おまけ

ファームウェアのアップデート

一部の機種(大体お値段がお高めの機種)では、ファームウェアのアップデート機能があります(現在のファームウェア最新版はバージョン2.6.0)。
今回比較している機種ですと「BOSE SOUNDSPORTS FREE」が唯一ファームウェアアップデートに対応しています。
スマートフォン用のアプリ「Bose Connect」からもBluetooth経由でアップデートが可能な点は1枚上手と云うところでしょうか。お値段にはそれなりの理由があると云うことだと思います。
BOSEのアプリ「Bose Connect」

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